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ニュースリリース(2020年1月27日)

コージェネ用ガスエンジンで世界最高水準の超高負荷運転を実現
―エンジン負荷の大幅増加によるガスコージェネの発電効率向上に期待―


 弊社は、この度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の省エネルギー開発技術助成事業において、ガスコージェネレーション用の試験用単気筒ガスエンジンシステムを製作し、世界最高水準の超高負荷運転を実現しました。

 ガスエンジンの超高負荷運転には超高過給化が必要になる一方、異常燃焼や失火などの燃焼不安定化を招きます。そこで、エンジン燃焼に関わる諸条件を工夫することで、燃焼不安定化を抑制しながら、現行のエンジン仕様のおよそ1.5倍となる、正味平均有効圧力(Pme)=3MPaを実現しました。超高負荷運転の実現により熱効率も高まるため、ガスコージェネの発電効率の向上が期待できます。

 特に、ガスコージェネを導入したものの、排熱を使いきれずに十分な経済効果の得にくかった電力需要の高い施設に対して、本技術を展開することで、省エネルギー効果が期待できます。

 今回の試験用単気筒ガスエンジンシステムに採用した超高負荷燃焼方式を、今後、民間のガスエンジン開発に活用を促すことで、ガスエンジンの発電効率の向上を目指します。

試験用単気筒ガスエンジンシステム

図1 開発した試験用単気筒ガスエンジンシステム

概要

  •  コージェネレーションシステム[※1](コージェネ)は、省エネルギー化を推進する上で重要な技術として注目される一方で、現行のコージェネ製品機では熱電比[※2]が高く、発電時の排熱を使い切れず、十分な経済効果が得られない場合もあるために、地域冷暖房や食品工場などの熱需要が比較的高い分野での導入にとどまっています。そのため、コージェネの一層の普及に向けて、コージェネの発電効率を大幅に向上させ、供給するエネルギー(電気と熱)に占める電気比率を高める製品を開発し、電力需要が高い分野での導入拡大につなげることが強く求められています。

  •  特に普及が望まれる出力210kW~5MW級のコージェネの発電効率を高めるには、原動機であるガスエンジンの熱効率向上が必要であることから、更なる高負荷運転の実現が必要とされています。

  •  コージェネ用ガスエンジンには予燃焼室(副室)式リーンバーン方式が多く採用されていますが、正味平均圧力(Pme)を高めると、やはり異常燃焼などの燃焼不安定性が避けられません。そのような要因も影響し、現行製品機のPmeは2MPa程度にとどまっています。

  •  こうした背景から、弊社は、2017年より、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より助成[※3]を受け、超高負荷運転が実現できるコージェネ用ガスエンジンの技術開発事業を開始しました。また、この事業は、エンジンメーカーやガス会社などの産業界・大学とともに産学官連携体制を取りながら進めてきました。

  •  そして今般、同事業において、弊社は、超高負荷燃焼研究を効率的に進めるための超高圧ガス圧縮機等を含む試験用単気筒ガスエンジンシステムを構築し、世界最高水準となるPme=3MPaを、異常燃焼が発生しやすい低メタン価の燃料で実現しました。超高負荷運転の実現により、機械効率向上、ポンプ仕事の回収によって、大きな発電効率の向上が見込めます。

  •  今回の試験用単気筒ガスエンジンシステムに採用した超高負荷燃焼方式を、今後、民間のガスエンジン開発に活用を促すことで、ガスエンジンの発電効率ベースアップ、ひいてはガスコージェネを導入したものの、排熱を使いきれずに十分な経済効果が得にくかった電力需要の高い施設でのガスコージェネの導入促進につなげます。

今回の成果

高負荷燃焼研究を行える試験用単気筒ガスエンジンシステムの製作
ベース性能としてPmeが2MPaの単気筒ガスエンジンの試験機と、超高過給を行うための高圧ガスおよび空気圧縮機などを含む試験用単気筒ガスエンジンシステムを構築しました(図1、図2)。
超高負荷運転を実現する燃焼技術の確立
超希薄燃焼を安定的に実現するため、エンジン燃焼に関わる諸条件を工夫することで、メタン価の低い燃料でも異常燃焼を抑制しながら、Pmeが3MPaという世界最高水準の超高負荷運転を達成しました(図3)。
普遍性の高い相似則を見出し、実機設計のための性能予測を行う1D・3Dシミュレーション技術の開発
シリンダーの内径(ボアサイズ)が異なるエンジンでも、超高出力運転が可能な設計が行えるよう、相似則[※4]を用いて性能予測を行う技術開発を進め、試験用単気筒ガスエンジンシステムでの試験結果を再現できる1D・3Dシミュレーション技術を開発しました(図4)。
試験用単気筒ガスエンジンシステム_システム図

図2 試験用単気筒ガスエンジンシステムの概要

試験用単気筒ガスエンジンシステム_筒内圧例

図3 ガスエンジン筒内圧例
試験用単気筒ガスエンジンシステム_燃焼3Dシミュレーション例

図4 性能予測燃焼3Dシミュレーション例

今後の予定

  •  今後も引き続きエンジンメーカーやガス会社などの産業界・大学とともに産学連携体制のもと、安定的に広い運転条件でも目標出力を達成する方法を見出し、エンジンサイズに対する相似則の精度を高めた実機設計のためのシミュレーション技術を確立し、ボアサイズの異なるさまざまなメーカーのエンジンに本要素技術が適用されることを目指します。

注釈

  • [※1] コージェネレーションシステム
  • 一つのエネルギーから複数のエネルギーを同時に取り出すシステムです。将来のエネルギー需給構造のあるべき姿を示す「長期エネルギー需給見通し」(経済産業省 資源エネルギー庁、平成27年7月)では、コージェネレーションが電源構成の一部として位置づけられ、2030年で1,190億kWhという発電電力量が初めて記載されました。その中で、ガスコージェネレーションシステムは、クリーンな都市ガスを燃料とし、発電時に出る排熱で蒸気や温水を発生させ、生産プロセス・給湯・冷暖房などに利用する仕組みです。

  • [※2] 熱電比
  • 回収される熱エネルギーと電気エネルギーの割合(熱負荷/電力負荷)を指します。

  • [※3] NEDO助成事業
  • 事業名:戦略的省エネルギー技術革新プログラム/テーマ設定型事業者連携スキーム/コージェネレーション用革新的高効率ガスエンジンの技術開発
  • 事業期間:2017年度~2021年度

  • [※4] 相似則
  • 複数の相似な系において、一定の条件下で物理量の比が系の大きさによらずにある一定値を取るという法則を言います。

問い合わせ先

  • (株)サステナブル・エンジン・リサーチセンター 担当:森川、木村 TEL:043-290-3119
  • NEDOの問い合わせ先:NEDO 省エネルギー部 担当:小笠原 TEL:044-520-5281
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